平和って何よ?

 ども。静岡の斉藤さんだよ。今日はね、「平和」について考えてみようと思うんだ。でもね、先に言っておくの。案外ね、重くなる(予定)だから、もしきついかなって思ったらブラウザバックを推奨します^^b(読まなくていいよって言い出すライターってなんなんだw)

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 今日かんがえる「平和」には、イマニュエル・カントさんに登場してもらうよ。あ、Yesご明察。『永遠平和のために』を引きます。これから引用部は特段断りがない場合、岩波文庫の宇都宮芳明訳第45版に沿うね。

 

 この著の中でカントがどんなことを主張しているか、を知るために、現代国際政治の泰斗京都大学中西寛教授の『国際政治とは何か 地球社会における人間と秩序』を参照してみますね。

カントはこの小著の中で、平和が永続的なものとなるための条件を掲げている。その条件の中でも重要なのは次の三つ(カントは確定条項と呼んでいる)である。第一に、「各国家における市民的体制は、共和的でなければならない」こと、第二に、「国際法は、自由な諸国家の連合制度に基礎を置くべき」こと、第三に、「世界市民法は、普遍的な友好をもたらす諸条件に制限されなければならない」ことである。重要なのは、カントがこれらの条件を一つの順序として考えていることであり、結果として、世界市民法については、不可欠だが補足的な位置づけしか与えていない、ということなのである。

ー226頁

  1. 「各国家における市民的体制は、共和的でなければならない」
  2. 国際法は、自由な諸国家の連合制度に基礎を置くべき」
  3. 世界市民法は、普遍的な友好をもたらす諸条件に制限されなければならない」

この3つの確定条項が順々に起きていくことで、世界が「平和」になるとカントさんは考えたんですね。なるほどなるほど。そしてこれをとってもわかりやすく書いてくれている本があるんですね。それはズバリ『国際政治学』。いや〜もうやっぱり中西寛教授が編著者ね。そして東京大学の石田淳教授と慶應義塾大学の田所昌幸教授というステキな布陣の本です。そして安定の有斐閣!!

国家が自由な人民の意思を反映する共和制をとり、諸国家の法が自由な国家の連合に基礎を置き、世界市民法が普遍的な友好についての諸条件に限られるような状態が望ましく、かつ最終的に実現可能であり、戦争を含む歴史的展開を経て人類が恒久的な平和体制を実現することを期待した

ちなみにこの解説はケンブリッジ大学Harry Hinsley教授の権力と平和の模索――国際関係史の理論と現実』の要約とのことですよ〜。

 

 さてさて、この確定条項をまとめてみますね。国内のシステムを自由化と民主化して、国家間関係ををよくしていこ〜! ってな感じですかね。異文化の社会を野蛮視したり、現地を無視して自分の主張をむりやり押し通すなんておかしいよね、って。

 

 そしてそして実はこの確定条項は『永遠平和のために』の中の第2章で書かれていることなんですね。そこで、今回は第1章をチャチャッと見てみましょうぜ!

 

第一章 この章は、国家間の永遠平和のための予備条項を含む

 第一条項 将来の戦争の種を密かに保留して締結された平和条約は、決して平和条約とみなされてはならない。

 第二条項 独立しているいかなる国家(小国であろうと、大国であろうと、この場合問題ではない)も、継承、交換、買収または贈与によって、他の国家がこれを取得できるということがあってはならない。

 第三条項 常備軍(miles perpetuus)は、時とともに全廃されなければならない。

 第四条項 国家の対外紛争にかんしては、いかなる国債も発行されてはならない。

 第五条項 いかなる国家も、他の国家の体制や統治に、暴力をもって干渉してはならない。

 第六条項 いかなる国家も、他国との戦争において、将来の平和時における相互間の信頼を不可能にしてしまうような行為をしてはならない。

です。これをpp.13~26で語り切るんですから稀代の思想家とはかくも優秀なるものか、って思っちゃいますよね。といっても、何を言っているか…難しいので簡単にしちゃいますね。

  1. 戦争の種になるような平和条約結ぶな、アホ
  2. とある国家を他の国が所有して支配するなんて無理無理
  3. 軍隊なくせよ
  4. 戦時国債発行禁止〜♪
  5. 暴力で他国に介入するの反対!
  6. 戦争している時に、終結後にお互いを信頼できなくなるようなことすんなよ!?

こんなかんじでいいですかね?  

 

 みなさん上の6つを見て「なんでっ!?」って思いましたか? カントの応答書いていきますね!

  1. いやだってそれ、「平和」になってないじゃん。ただの休戦じゃんw
  2. 国家って誰かの所有物じゃないでしょ?  自分以外が意思決定をしちゃいけない市民社会の総体が国家じゃん? 所有して支配なんてできないじゃん?
  3. だって、常備軍あったらいつでも戦争できるんでしょ? 他の国を常に恐怖に陥れるわけじゃん。そんなん平和にならんよ。
  4. 戦争遂行のための金を際限なく手に入れられて、戦争長引くし危険じゃん?
  5. 自分のものじゃない他の国家に干渉する権利なんてないだろ
  6. 戦争中でも相手に対して、戦時国際法は守るみたいな何らかの信頼はあるはずなのにそれが存在できなくなるからね

です。案外わかりやすいですよね。でもでも、これ本で読むとわかりづらい記述なんですよね…

 

 ところで、いきなりですけどこれ可能だと思いますか?  ニシシ。考えたいのはここからですよね。カントは厳格なリベラリストで、もし万が一彼が構想したように世界が動いたら実はまさしく「平和」が訪れる様な理論を展開しています。ただ残念なことに、上でみたきた様な『永遠平和のために』の世界はなかなかどうして実現しそうにありませんね。うん。だって、「カントの理論と現実は違うから」っていう声が聞こえてきそうですけど、実はちょっと違って「理論と現実は違うから」という錦の御旗(?)を掲げて実現させようとしない人がたくさんいるからですね。

 

 「確かにその通りになったら平和になる。でもしかしね、現実問題としては…」って。あちゃー。同意しつつ否定する感じですね。う〜ん。そうじゃないんだよなぁ。もし、世界の人すべてが「そうだね。そうしてみようか。」ってなったら話は全然変わると思いませんか? つまり、総ての人がカントの言う通りに行動したら、ひょっとして「永遠平和」が訪れるかもしれないと思いませんか? 「どうせできない」「現実的じゃない」その言葉で理論を口撃する人たちは何かを見落としている気がしてなりません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ま、こんなこといいつつも私は『永遠平和のために』の構想実現はむずかしいな、と思っていたりしますけどね。私たちが生きている間はテヘッ